妄想とスケルツォ

投稿した動画に関する戯言置き場

『弟たちのよだかの星』編集後記②

前回(『弟たちのよだかの星』編集後記①)の続きになります。

 

 

まず最初に浮かんだのが、始まりと終わりの部分の文章です。
あと、かわせみがはちすずめに書いた手紙の内容もこの段階で考えていました。
それを思うと、やっぱりこれらがこの動画の軸なのでしょうね。
※画像は再現

 

f:id:oka_moya:20190606195946j:plain


このあとは、動画のすすむとおりの流れで書いていきました。
もっとはちすずめを主人公っぽくするつもりでいたのに、蓋を開けてみたらこういう形になったのでびっくりです。
さらに、弟たちが『よだかの星』を追体験するような仕上がりになったということにいちばん驚きました。「兄の行為を弟たちが納得できるようになる話」にしようとは思っていましたが、こういう形になるとは。
そういう意味でいえば、ひょっとしたらタイトルは、「弟たちの『よだかの星』」のほうが合っていたかもしれませんね。

 


鳥たちには、それぞれ「いるいる」と思うようなパターンを演じてもらいました。

 

f:id:oka_moya:20190606200225j:plain


めじろには、「うしろめたいことを、あえて自分のほうからさもなんでもないことのように話す」先手取ってやれパターンを。

 

f:id:oka_moya:20190606200255j:plain


ひばりには、「ほんとは知らんぷりをしたいけど、うしろめたさから口出ししてしまう」罪悪感パターン。

 

f:id:oka_moya:20190606200336j:plain

f:id:oka_moya:20190606200347j:plain


小鳥たちには、「誰かのせいにして自分は悪くないと思っている」責任転嫁パターンの他、「すぐに次のターゲットに切り替える」「安全なところから攻撃する」など複数のパターンを担当してもらいました。

 

f:id:oka_moya:20190606200432j:plain


鷹は、「からかっていただけ」「よかれと思って」など、そんなつもりじゃなかったパターンですね。なんとなくですが、主犯格がこういうこと言いがちな気がします。

 

f:id:oka_moya:20190606200704j:plain

f:id:oka_moya:20190606200720j:plain


虫と梟は動画オリジナルキャラクターです。
そんなものを出すつもりは全然なかったのですが(何らかの作品が映画化やドラマ化されるときにありがちな、オリジナルキャラの出現があまり好きではない)、「虫を食べる罪悪感」「のろしのように飛翔」に関するエピソードをかわせみが知るために、必要になりました。
もしかしたらもっと他にやりようがあったかもしれないけど、わたしに思いついたのはこういう形でした。
今後は唐突なオリキャラ出現にも寛大になりそうです…笑

虫に関しては、自分たちを食べる存在に対するエピソードを語らせるのもどうかと思ったのですが、逆にそうすることで、非力で弱者と思われがちな存在でも、このように現実を受け止め、その中で懸命に生きているということを表現できたらなとの思惑もありました。
また、「はちすずめが兄のかわせみから知らされたことを語る」という伝聞が軸のストーリーの中に、さらにもう一本「虫が知り合いに聞いた話」という伝聞を組込むのってややこしくなるのでは…とも思ったのですが、ここは、「自分が見た話」よりも「他者から聞いた話」という距離感があるほうがなんとなくいい気がして、こうしました。


梟には、多くを語らずも的確なことをビシッと言ってくれる、という存在になってもらいました。
彼の言葉に、存在に、かわせみは大いに救われたんじゃないかなあ。

 


<キャスト>

よだか…おくう

かわせみ…はたて

はちすずめ…みすちー

めじろ…ありす

ひばり…せいが

小鳥1…れみりあ

小鳥2…ふらん

鷹…ゆかり

虫…りぐる

太陽…さにーみるく

オリオン…すたーさふぁいあ

大犬…かげろう

大熊…ゆうぎ

鷲…もこう

梟…まりさ


主要キャラの3兄弟は鳥キャラクターにしたいと思っていました。
いちばん悩んだのはかわせみ。よだかは「燃えつづける」存在であることを重要だと考えていたので、お空さんに。はちすずめは、「蜂雀→ハチドリ→ハミングバード」から。

最後まで悩んだのはめじろ役。
アリスと早苗さんで悩んでいました。後の展開への含みがより出せそうかなと思ったことと、頭に坊やを乗せてるように見えるということから最終的にアリスに。

梟の魔理沙は、思いついた瞬間これだ!と思うほどしっくりくると感じたのにその理由が自分でもよく分からなかったのですが、しばらく考えて、たぶん、帽子だな、と。
とんがり帽子→魔法使い→梟…という流れでしっくりきたんだと思います。
それにしても、「魔法使い→梟」の根拠はなんだろう…ハリーポッターかなあ。

 


<こぼれ話>

最初に出て来る手紙、実は右上に「11/11」と書いてあります。
エンコでなぜか切れちゃってやり直そうかとも思ったのですが、メインに関わってくることでもないし、あえて全部を見せないというのもいいかな、と思ってそのままにしました。
ちなみに「11」がどこからきたかというと、手元にある『よだかの星』が、ちょうど全11ページだからです(『新編 銀河鉄道の夜宮沢賢治新潮文庫))。

 

f:id:oka_moya:20190606201353j:plain


個人的に気に入っているシーンのひとつです。
というのも、音楽とぴったり合っている、セリフ後半の部分。
実はまったくの偶然なんです。
「このへんからBGM流そ~」で適当に流し始めて、「セリフの間隔はこんくらいにしよ~」と、ぺっぺっとセリフを配置して、確認のために再生してみたら、なんだこれ!と。
めっちゃいいじゃん!と。
自分ではあんな風にしようと思いつけたかどうか定かではないので、神さまありがとう!といった心地です。
そんな意味で、気に入っています。


<参考文献>
・『新編 銀河鉄道の夜宮沢賢治新潮文庫
・『宮沢賢治ハンドブック』天沢退二郎編(新書館
・『宮沢賢治論ー賢治作品をどう読むかー』岡屋昭雄(おうふう)
・『宮沢賢治幻想辞典』畑山博(六興出版)
・『宮沢賢治の全童話を読む』国文学編集部(學燈社

 動画づくりおよび編集後記①②を書くにあたり、たいへんお世話になりました。