妄想とスケルツォ

投稿した動画に関する戯言置き場

ゆっくり朗読風「瓶詰地獄」の編集後記

ゲーム実況を見ていた。

そのゲーム、こどもの頃にプレイした覚えはあるものの、まったく内容が思い出せなかったのだ。
けっこうおもしろかったんだよね…という印象だけはしっかりと残っているのにそれ以外のことはカケラも思い出せなくて、やたら気になって、検索した。

ああ、そうそう、こんなんだった~!

ストーリーよりもなによりも、いちばん「なつかしい~~!」となったのはBGMだった。
やっぱり音楽とかにおいの記憶って、とても高い純度で保存されていると思う。キャラクターの名前やストーリーの展開は実況動画(ゲーム)がはじまってからも思い出されることはなかったが、BGMはちょっと聞いただけで「こんな曲だったわ~~!」となつかしさが爆発した。

そのゲームはゲームボーイのソフトだったので、BGMはもちろん8bit音源。


8bitの曲、久しぶりに聞いたけどなんとも言えない味があるんだよな~やっぱりいいわ~
    ↓
そういえば、クラシックって8bitとの相性いいんじゃないかと前から思ってたんだよな
    ↓
とくに今いちばんお気に入りのあの曲なんてすごく似合いそうだ
    ↓
あれかな、8bit音源が作れるフリーソフトってないのかな
    ↓
あったわ(ピストンコラージュ https://studiopixel.jp/pxtone/index.html
    ↓
できたわ(パッサカリア~おかもやアレンジ~)
    ↓
想像以上に8bitとお似合いだな~めちゃめちゃ気に入った!
    ↓
なんか…これ使って動画作りたいかも…
    ↓
エンディングで動画タイトルばーんと出てこれ流れたらめちゃくちゃかっこよくない?
    ↓
ということは、扱う作品は「瓶詰地獄」になるな(投稿初期段階で想定していた動画化候補リストの中のラスト一作だった)
    ↓
曲がせっかく8bitなんだから本編もドット風でいきたいなあ
    ↓
……いっそのことゲーム風に仕上げちゃえばいいんじゃね?

 

こうして出来上がったのが、ゆっくり朗読風「瓶詰地獄」となります。

 

 


ご挨拶が遅れました、どうも、おかもやです。
「月夜奏琴」の際は動画のエンディング部分で編集後記めいたことを書いたので、こちらに書くのはかなり久しぶりですね。

「瓶詰地獄」、ご視聴ありがとうございました。
今回、動画の作風も作品の世界観もガラリと変わってしまったので驚かれた方もいらっしゃったかもしれませんが、「楽しかった」「おもしろかった」というご感想をたくさんいただけてうれしいと同時にホッとひと安心しております。
「なるほどね~!」と思わず膝を叩いてしまうようなコメントをいただいたりもして、作品に対するみなさんの視点を知れるのがとても楽しく、これまででいちばん投稿後の自分の動画を視聴しているかもしれません…笑
みなさま、改めましてご覧いただきありがとうございます。

さて、編集後記ということですが、作品についての自分の考えは動画に思う存分注ぎ込めたのでとくに語りたいことはなく、それならせっかくだから…ということでこの動画が出来るまでの経緯を書いてみました。
そう、音楽スタートだったのです。
いやあ~、なにがきっかけになるかわかりませんね。
実際、あのようなきっかけがなければまだ当分は動画を作る予定はありませんでした。薄々自覚はありましたが、わたし、やはり爆発形のようです(火が付くと一気に…的な)。


上記の流れもありますし、せっかくなので今回は、動画づくりの工程(ざっくりとですが)に重点を置いてお話ししたいと思います。


一、本文をととのえる

f:id:oka_moya:20201021202737j:plain

なんだかんだWordが便利

この工程、人によって「台本づくり」「脚本を書く」など表現が変わってくると思います。わたしの場合、この本文をととのえる作業をしながら頭の中でシーンなどを思い浮かべ、必要になりそうな素材をリストアップしておき、順次素材を集めていきます。
わたしは今回(前回もかな)、内容を変化させたり作品世界後を描くタイプの二次創作を行ったわけではなく、あくまで作品の「見え方」「つくり」を重視していたので、独自ななにかを書き加えたりはしていません。強いていえば、冒頭部の役場からの手紙をほんのすこしわかりやすい言葉になおしたくらい。
むしろ削りました。キワドイ表現を削りました。「キワドイから」というのが理由の大部分なのですが、もうひとつ、「意識が引っ張られすぎる」というのもありました。
動画説明欄にも書きましたが、わたしがこの作品のすごいなあ、うまいなあと思う点はなんといっても「構成」なのです。でもそれ、内容のインパクトの影にかくれがちなんですよね。ですので、「キワドイ部分こそ魅力!」ととらえる原作ファンの方のことを思うと心苦しかったのですが、思い切って削らせていただきました。

(余談)
たとえば、作品の始まり方がもう絶品です。
「拝呈 時下益々御清栄」ですよ? 控え目に言ってもこれやばくないですか?
一般に、小説の最初の一文はすごく大事だと言われています。「さて、これはいったいどんなストーリーなのかな」とわくわくしている読者を、ここでどう作品世界に引き込むかが最初のカギなのだそうです。そこにきて、「拝呈 時下益々御清栄」ですよ? いやもう夢野久作天才ではと本気で思いました。
この冒頭のすばらしさ、動画でどう表現しよう…といろいろ考えて辿り着いたのが、あの形でした。
テレビの電源を入れたときのような音。揺らぎながら現れるドット表現の手紙。ウィンドウ、選択肢……原作のように、雑念をとっぱらい、一気に動画世界に引き込むことに成功していればいいなあと思います。


二、ゆっくりMovie Makerで音声づくり

f:id:oka_moya:20201021202743j:plain

いつもはもっと素材もりもりだけど、今回はゆっくりボイスのみ

今回、いろいろ検討した結果本編にゆっくりを登場させず文字だけのノベルゲー風(やったことないけど)でいこうとなったので、この工程では本当に音声しか作ってないです。セリフ字幕もオフ。
普段はこの工程でゆっくり音声素材に加え、背景素材、BGM、ゆっくり(饅頭)素材、音声字幕を配置したデータ(ファイル)を作ります。
前作で動画をいくつかのパーツに区切って作成し、最終的にひとつにつなげる作り方を試したところいろいろなストレスが軽減されたので、今回もその作り方でいきました。ちょうど原作のほうもいい具合に区切れていたので、「役場手紙」「第一の瓶の内容」「第二の瓶の内容」「第三の瓶の内容」と分けて、四つのゆっくり音声データを作成しました。

(余談)
今回、受け手がそれぞれ思い浮かべる作品世界を大事にしてもらおうと視覚情報を極端に絞ったので、いつもはやらない「ゆっくり音声の抑揚」を頑張ってみました。
わたしはゆっくりMovie Makerの自動で抑揚を付けてくれる機能を切っており、普段は「、」「,」「。」のみで抑揚を調整しています。とくになにかこだわりがあるわけでなく、それが自分にいちばんしっくりくるからという単純な理由です。でも今回は視覚情報が少ないぶん音声には力を入れようと思って、こちらのページ(https://manjubox.net/ymm3/tips/yukkuri/h201341985816853/)にあるようなアクセント記号も用い、抑揚にこだわってみました。


三、Aviutlで完成形へ

f:id:oka_moya:20201021202803j:plain

今回はとにかくコツコツ作業だった(そういうの苦にならない人)

Layer1にあるのがYMMで作ったゆっくりボイスの音声たちです

ゆっくりMovie Makerで作成し出力したexoデータをAviutlに読み込ませ、実際にみなさんがニコニコで目にする完成形へと仕上げます。
わたしは普段、この工程でセリフ字幕以外のテキストを追加したり画像素材に動きやエフェクトを加えたりしています。YMMとAviutlでの作業量の割合は、投稿者さんによって違うようです。わたしはAviutlでの作業量のほうが多くて、作業工程の七割くらいはAviutlで行っているんじゃないかと思います。

今回わたしはpart1~4(選択肢のシーン)とED(エンディング)というパーツを新たにAviutlのみで作成したので、ひとつの動画を仕上げるのに九つのパーツをつなげることとなりました。配置としては、

part1+「役場手紙」+part2+「第一の瓶の内容」+part3+「第二の瓶の内容」+part4+「第三の瓶の内容」+ED

という形です。
この、パーツごとに作っていく方法すごくいいですね。
前述のとおり前作からこの手法に変えたのですが、それまでは愚直に動画一本をひとつのファイルで頭から順番に作っていってたんですよ。そうすると後半の場面でいいアイデアが浮かんでも素材配置の関係で前のシーンが仕上がっていないと作れないことが多いし、ちょっと出力(動画化)して確認したい部分があっても(音の大きさや動きなど)その他の場面を含めて出力しなければならないので、動画が長くなればなるほどエンコードにかかる時間も長くなり…といいことナシでした。
それが、パーツ(シーンや場面と言い換えてもいいかも)ごとに作れば、要所要所で試作したり出力したりということが気軽にできるので、ものすごく作りやすいんです。さらに、たとえばだいぶ出来上がってきた頃に前半部分に手直しが必要になったりしたとき、その影響が後半部分にまで響く…(素材の配置がズレたり)というようなリスクも減らせます。
たぶん、だいたいの投稿者さんはこの作り方なのではないでしょうか。わたしは頭が固いというか視野が狭いというか柔軟性がないというか、こんな作り方はちっとも思い浮かびませんでした。もしこれから動画づくりを始めるという方がいらっしゃったら、ぜひこの方法をおススメします。

すべてのパーツが仕上がったら、それらをexo出力します(YMMから出力した際のexoファイルとごっちゃにならないよう注意)。

f:id:oka_moya:20201021202811j:plain

編集エリアの適当なところで右クリックしてこれを選ぶとexoファイルで出力できる

そして、新たに「瓶詰地獄」という名前のまっさらな新規ファイルをAviutlで作り、そこにこのexoファイルを先に述べた配置(順番)どおりに読み込ませていくだけ。これで晴れて、一本の動画となりました。

この段階に来るまでに、いろいろなチェック(音量バランス、素材配置、フェード関係etc.)やミスがあるかどうかの確認は済ませておきます。というのも、一本の動画につなげてしまってから(動画時間が長くなってしまってから)チェックをするのは、なかなかたいへんなのです。なぜなら、だいたいチェックは一度では済まないからです。

チェック
 ↓
ミス発見
 ↓
修正・再エンコ
 ↓
修正箇所を含め再チェック
 ↓
別のミス発見
 ↓
修正・再々エンコ
 ↓
修正箇所を含め再々チェック
 ↓
さらに別のミス発見……

ということが続くのですよね、なぜか。
そして、これだけやっているにもかかわらず、高確率で投稿後にもミスは見つかるのです…こわいですね(?)。
こんなふうに、何度も何度もチェックのために動画を見るハメになると、動画時間が長いとけっこうたいへんなんです…その都度エンコードするのにも時間がかかるし。したがって、仕上がりの確認はパーツを繋げる前の段階で済ませておくのが吉です。


四、投稿

エンコードした動画の確認作業を終えたら、あとはもう、勇気を出して投稿ボタンをクリックするだけです。(動画説明文に書く内容とか、動画のタイトルどうしようかとか、わたしはこの段階でもいろいろ悩むポイントが多くあるのですが…)

投稿前は、とってもどきどきします。
わたしは今でも吐きそうなほど緊張しながら、毎回投稿ボタンをクリックしています。
そんなとき、ひとつでも「うぽつ」というコメントがつくと、ほんとうにほんとうにうれしくなるんです。見る専のときに想像していたのとは比べものにならないほど、「うぽつ」とか「乙」のコメントってうれしいものなのですよ。これは、投稿者になってみてはじめてわかったことのひとつです。


さて、すごくざっくりとですがわたしの動画の作り方を紹介してみました。。
ただひとつ言えることは、この記事を見るよりも、もっともっとわかりやすくていねいな情報を公開して下さってる方がたくさんいらっしゃるということです。なので、わからないことがあったらすぐ検索してみることです。わたしもいつもそのようにして作っています。

動画作りに興味があるけどたいへんそうでちょっと躊躇してしまう…というような方などに、すこしでも作業の雰囲気を味わっていただければ幸いです。